あるフリーランス翻訳者の不安

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フリーランス翻訳業は、所詮は完全歩合制の自由業ですからねぇ。

望むときに、望むだけの仕事が常にあるとは限りません。

ひょっとしたら明日からず~っと仕事がないことだって、十分ありえます。

逆に仕事が制御不能なレベルでどんどん入ってくることも、もちろんあります。

慌ただしく引き受けた仕事を必死でこなしていると、この好調は永遠に続くのだろう、となどと愚かな勘違いをしてしまうこともしばしばです。

でもそういう勘違いをしてしまったころに、得てして来る仕事の量が大幅に減ったりするんですよ~。

そんな時は、

  • 忙しすぎてあの時は断ってしまった仕事、今きてくれれば喜んでやるのに!
  • 今のペースでしか仕事が来なくなったらどうしよう!
  • このまま仕事が減り続けてしまったらどうしよう!

などなど、マイナス思考の連鎖にはまってしまったりします。

ひどいときには「もうおしまいだ。このまま朽ち果てていくしかないのか」くらいの勢いでヘコむことだってあります。

平均を上回る翻訳料率

ちなみに、私は平均と比べると、比較的良好なレート(料率)で翻訳会社から翻訳を引き受けていると思います。

それは、複数の翻訳会社と取引をしていく中で、低いレートで仕事を受けていた翻訳会社に対して割と強気な価格交渉をしてきて、値上げを勝ち取ってきたためだと思います。

「他社さんとは、xx円のレートでやらせてもらっています。そのレートで十分な仕事を得られるようになってきていますので、御社のレートもその水準まで上げていただけませんか。」という論法での交渉です。

このとき「他社さんとxx円のレートでやらせてもらっている」という言葉に嘘はないため、真実味があり、概ね交渉はうまくいきます。

いままで値上げ交渉をして、値上げ自体を断られたことはないと思います。ただ、値上げしてしまったために、その会社から仕事が入りにくくなることはありますし、まったくその会社から仕事が入らなくなることもあります。

(そうなったら、自分の取引先が1社減るということになるので、自分の望むレートで契約してくれて、そのうえ十分な仕事をくれる新たな取引先を探すことになります。)

仕事を得るためにレートを下げるべきか

まぁ、そういうこともありまして、一時的に仕事が減ったときなんかは、仕事が少なくなったのは、「高めのレート設定に問題があるのではないか。値下げしたらもっと仕事を依頼してくれたりするのかなぁ」なんて考えてしまうこともあります。

(逆に仕事がたくさん来ているときは、そのような考えが頭を一瞬でもよぎることはありません。)

いや~、しかしレートは下げたくないですね。むしろもっと上げたい、と考えているくらいです。

経験が大きくものをいうこの仕事で、経験を重ねて、実力も間違いなく上がっている中で、レートは変わらず、とか、さらに下げなければならない、とかはなかなか納得できるものではないですよ・・・。

フリーランス翻訳者に対する値下げ圧力

肌感覚ですが、この業界、フリーランス翻訳者に対する値下げ圧力はかなりあります。

昨今、著しい性能向上を成し遂げている機械翻訳やAI翻訳などもその要因の1つだと思います(機械翻訳とAI翻訳の違いは私にはわからないので、一緒くたにして機械翻訳と呼びます)。

この機械翻訳も脅威といえば脅威ですね。

機械翻訳によって翻訳者の仕事が全て失われるなんて話は全く信じていないのですが、機械翻訳の開発会社のセールストークに踊らされて、人の手による翻訳の90%以上は機械翻訳で代替可能、と信じ込んでしまう一般企業は少なからず出てきていると思います。

そうした会社は、たとえ機械翻訳を導入しなかったとしても、翻訳会社に対する値下げ交渉のために機械翻訳の性能について言及くらいはするでしょう。

そして恐ろしいことに、翻訳会社のお偉いさんの中にも、機械翻訳だけで90%以上仕事が完了できる、と考えている人が少なからずいます。

まぁ、そのように考える人たちが、翻訳料の引き下げを強く求めるのは、ある意味当然のことかと思います。

ある考え方との出会い

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そんな感じで翻訳者としての将来に不安の尽きることはないのですが、そんな精神状態の中、ある考え方に出会いました。

その考え方とは・・・

不確かな将来についてあれこれ思い悩むのではなく、今日という1日の価値を最大限高めるために全力を尽くせ

というものです。

とくに目新しい考え方ではないと思うのですが、自分の心には刺さりました。

この考え方に従って、翻訳者としての将来について悩むのではなく、いま目の前にある仕事に全力を尽くし、またいま目の前に仕事がない場合は、翻訳者としての力量を高められるよう全力で学ぶことを心掛けたいと思います。

何年か後に、この考えに出会ったことがターニングポイントだった、と思える時が来る、そんな予感がしてなりません。(了)

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