成功哲学のわな(役に立つ助言、役に立たない助言)

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英文読解力の強化のために複数の本を同時進行で読んでいます。いわゆる成功哲学の本も読んでいるのですが、正直、「う~ん、そうかなぁ?」、「いや、そうは思えないけど」と思うことも結構あったりします。ひねくれた性格のせいなんですかね? いや、昔はこういった類の本はもっと素直に読めていた気がします。ということは、年齢を重ねて疑り深くなったせい?

今回は、成功哲学で語られている助言の中で、あまり納得できなかったことについて少し書いてみようと思います。

1. 退路を断って行動せよ?

成功するためには、退路を断って全力でことにあたるのが良い、という主張を支えるために挙げられた事例が2つ記載されていました。

  • 尊敬してやまない人の共同経営者になるため、故郷で培った人脈や仕事の機会を全部投げ捨てて、無一文でその人の元に行き、共同経営者になるように持ち掛け、最終的にその願いが叶って共同経営者となることができ、その後ビジネス上の大成功を収めたという話
  • 古代の戦争で、ある将軍が敵の要塞を責めるために船団を組んで渡河を終えた直後に、部下に命じすべての船に火を放ち、「これでわが軍は敵に勝利するか、破れて全滅するか、の2つに一つになった」と演説して全軍に奮起を促し、戦って勝利した、という話

うん、言いたいことはよくわかるのですが、同意できるかというと難しいです。退路を断って挑んだことで、良い結果が生まれた事例だけを都合よくピックアップして紹介しているだけのような・・・。上の2つに類似した事例で、退路を断って決死の覚悟で挑んだまでは良かったものの、あえなく惨敗して露頭に迷ったり、全滅したりした例だってきっとたくさんあるでしょう。むしろそうした事例の方が多かったりするのでは?背水の陣を敷いて全力で挑めば必ず成功できる、みたいな言い方は疑問です。

むしろプレッシャーに弱い私なら、失敗したときに備えた逃げ道がしっかり確保されていた方が、後方の憂いなく安心して全力で戦えるような気がします。

2. まず動け? 動きながら考えろ?

「まず動け」とか、「動きながら考えろ」とかいう主張。これは、今読んでいる本に直接書かれていた内容ではありません。むしろその逆で、今読んでいる本では「心を落ち着けて思考することの大切さ」が説かれています。この「心を落ち着けて思考することの大切さ」について読んでいる時に、そういえば世間一般では、成功するためには、「まず動け」とか、「動きながら考えろ」とか、威勢のよい言葉で行動を促されているなぁ、と思い出しました。

こうした助言については、行動を重視するあまり、思考がないがしろにされているなぁ、という印象を持っています。

というのも、自分の経験でいうと、この「まず動け」とか「動きながら考えろ」という言葉に従った場合、ろくな目に合っていないような・・・。準備不足が露呈して痛い目を見ることの方が多いように思います。軌道修正や後始末も大変。かなりの確率でこれだったら最初からよく考えてから動けばよかった、と後で思います。

「まず動け」を実行しようとすると、どうしても思考のない直感だよりの行動にならざるを得ないです。直感的に行動しても大きな成功を収められるような天賦の才に恵まれたような人であればいざ知らず、凡才の私には、直感的な行動で大きな成果を得ろ、なんて無理筋もいいところ。

また「動きながら考えろ」といわれても、そもそも人の脳は、重大な考え事をしながら動き回れるほど柔軟にできているんですかね。小事ならともかく、大事にあたるときにそのようなアプローチは危険すぎるように思うのです。

軍事行動だって、事前に慎重に作戦を立てますよね?「まず動け」と考えなしに敵につっこんだり、「動きながら考えろ」と、敵に攻撃を加えながら同時進行で作戦を立てたりしないですね。

まぁ、「まず動け」とか「動きながら考えろ」、という助言や説教は、あれこれ考えてばかりでいつまでも行動に移さない人に対する警鐘という側面もあるのでしょうが、それでも思考は二の次だと言わんばかりの助言や説教には同意できませんねぇ。

まとめ

成功哲学の本は、読んでいて結構おもしろいので、原書を読むと英語の勉強にもなって非常にありがたいのですが、そこに書いてある内容を無批判に実行してしまうと、ときに酷い結果を生むことがありえる、ということは念頭に置く必要がありそうです。一方で、これは絶対的に正しい、目から鱗だ!というような内容も書かれていたりするので、結局は自分が信じられる教えを見つけたら、それを実践していく、という使い方がちょうどいいのかなぁ、と思います。でも、まぁ、全く納得できない内容でも「いや、それは違うだろ」と内心で突っ込みを入れながら読み進めていくのも読み方としては楽しいのかもしれません。(了)

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